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外国人従業員・採用活動のポイント


こんにちは。行政書士の竹内真弓です。

 

さて、新型コロナウイルスのワクチン接種が世の中に浸透し、以前と比べてコロナ感染後の回復期間がかなり短くなりました。国も、マスクの着用を個々の判断にまかせるなど、アフターコロナへと舵を切りました。未だに感染への不安を感じつつも、私たちは新たな生活スタイルに慣れていかなければならないようです。

 

2020年に発生した新型コロナは、私たちの生活に大きな打撃を与え、甚だしい売上減少に陥った企業も相当な数に上りました。経営を回復させる方法に迷っている事業者の方も多いのではないかと思います。

 

新年度がスタートしましたが、今後、思い切った事業転換を検討するかしないかで、企業の将来の明暗を分けるかもしれません。

 

ところで、事業転換には様々な方法がありますが、これまで外国人従業員を雇用していない企業は、外国人の採用に踏み切るのも事業転換の一つと言えるのではないでしょうか。

 

「インバウンドに対応したい」、「事業のグローバル展開をしてみたい」、「人材の多様性で企業を活性化させたい」といった希望を、外国人従業員が叶えてくれるかもしれません。

 

外国人の雇用形態には、正社員とアルバイト等のパートタイム採用があります。外国人の立場からすれば、安定収入が得られる正社員で働きたいというのが本音だと思います。しかし、巷では、多くの外国人がコンビニや飲食店でアルバイトをしているのを見かけます。こうした外国人の雇用は、いったいどうように行われているのでしょうか。

 

 

今回は、「外国人従業員・採用活動のポイント」と題し、外国人従業員の採用活動についてのポイントをいくつかのお話をさせていただきたいと思います。企業での外国人人材の募集方法や入管手続きの参考にしていただければと思います。



01 求人募集のポイント


日本人の従業員を募集するときは、求人情報の掲載内容をどうするのか、求人募集をどのようにするかといった検討をします。

 

外国人を採用するときも、技能実習等いくつかの在留資格を除いて、インターネットの活用や、学校のキャリアセンターやハローワークへの登録、人材派遣会社や人材紹介会社からの紹介、あるいは縁故採用などといった方法で募集ができます。

 

外国人は、企業が即戦力のスペシャリストが欲しいのか、長期雇用のジェネラリストを求めているのか、必要なスキルはなにか、仕事の評価方法やキャリアパスはどのようになってるか、残業の状況や休日の取り方はどうか、といったことに関心が高いようです。

 

 

これらは、私たち日本人でも気になることですが、国柄や文化の違いから、後々、取り違いが起こりやすいようです。明確な内容が伝えられるように用意しておくと良いでしょう。


02 就労資格の確認ポイント


出入国管理及び難民認定法(入管法)には、在留資格ごとの活動範囲などが定められており、アルバイト等のパートタイム勤務ができるかどうかは在留資格によって異なります。

 

 例えば、「日本人配偶者」、「永住者」、「永住者の配偶者」、「定住者」といった在留資格は、就労の制限がないため、資格外活動許可を受けずに日本人と同じように自由に働くことができます。

 

一方、「留学」や「家族滞在」という在留資格は、入管法上“就労”をすることが認められていません。具体的には、「留学」は“就学”を活動目的とする在留資格とされていますし、「家族滞在」は就労や留学の目的で日本に在留する外国人の扶養者(配偶者や子供)が“日常的な活動”をするための在留資格となります。

 

このような就労が認められない在留資格を有する外国人が、アルバイト等のパートタイム勤務をするには、在留資格のほかに資格外活動許可を得る必要があります。

  

資格外活動許可を得るには、原則的に申請者本人の住所を管轄する地方出入国在留管理局に許可の申請をする必要があります。

 

資格外活動許可を取得する前に就労すると、本人は資格外活動罪や退去強制(いわゆる強制送還)などの対象となり、雇用主も過失があれば不法就労助長罪の対象になります。

 

日本は、外国人が所持する「在留カード」や「マイナンバー」制度により、外国人がどのような場所で就労したか、収入額がいくらあったか、納税を幾らしたか、といった情報を、入管が把握できるしくみになっています。

 

応募してきた外国人の在留資格の内容を把握し、資格外活動許可の要否を確認して不法就労者を採用しないようにしなければなりません。


03 在留カードの確認ポイント


日本に一定期間以上滞在する外国人は、在留カードを常時携帯するよう義務付けられています。

面談の当日も、必ず在留カードとパスポートを持参してもらうようにしましょう。

 

オーバーステイになっていないか、在留資格の活動内容が募集している業務に対応できるものか、就労制限の有無や資格外活動許可の欄は就労ができる状態になっているかといったことを在留カードで確認します。

 

また、就労制限の有無の欄に「指定書」とかかれている場合は、パスポートに貼られている指定書も併せて確認しましょう。


04 長期雇用のテクニック


採用の仕方については、正社員かアルバイト等のパートタイムかという選択肢の他に、アルバイト等のパートタイム採用をした後、在留資格の変更申請をして正社員へ登用するという方法もあります。

 

例えば、オフィスワークのアルバイトで採用した留学生を正社員にする場合、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動46号」へ在留資格を変更する方法が考えられます。

 

学校を卒業後、これらの在留資格へ変更する予定があるか、日本で働きたい期間はどのくらいかなど、面接のときに本人に確認しておきましょう。

 

また、「在留資格変更許可申請」の処理は、1ヶ月から4ヶ月程度かかります。

外国人留学生が学校を卒業した後、タイミング良く変更申請が終わるように、申請書類の作成サポートを適切な時期に始めるようにしましょう。

 

在留資格変更許可申請手続書類として、本人作成用の申請書と企業作成用の申請書の他に、本人の証明写真、パスポート、在留カード等が必要です。

 

これらの書類に加え、特定活動46号の場合は、学歴を証明する文書(学位を確認でききる卒業証書などの写しや日本語能力(N1以上)を証明する文書も本人が用意しなければなりません。

 

また、企業側も、申請人の活動内容等を証明する資料、雇用理由書、事業内容をあきらかにする資料等を作成し、本人が申請をする前に渡しておく必要があります。

 

なお、技術・人文知識・国際業務の申請では、採用する企業の規模によって提出する書類が異なります。

 その他にも、特定分野での就労を希望する外国人を支援する「登録支援機関」の支援が必要な場合もあります。

 

詳しくは、出入国在留管理庁に問合せるか、弁護士や行政書士等の入管申請の取次ができる専門家に相談すると良いでしょう。

 

これら全ての書類がそろったら、管轄の地方出入国在留管理局へ持参し、外国人本人が申請を行います。


05 おわりに


最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

 

今回は、外国人従業員の採用活動のポイントについて、いくつかお話させていただきました。これから日本で働きたい外国人の方や外国人の採用に携わる皆様に、少しでも参考にしていただければ嬉しいです。

 

出入国在留管理庁への申請取次を専門とする行政書士は、申請者ご本人様や採用事業者様からご依頼を受けて、申請書類等の作成から申請の代行まで一貫してお引き受けすることができます。

 

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