個人事業と法人の設立について


はじめて起業をするをとき「最初は小さく機動的な事業所を経営したい」と考えるのでしょうか。

 

それとも何年も前から計画を立てて、多額の資本金を調達し「ある程度組織のしっかりした大きな会社を経営したい」と思うでしょうか。

 

個人事業か法人か検討し、法人であるなら株式会社、持分会社、NPO法人、社団法人、財団法人等といった様々な会社の形態のなかから、一番適した会社を選んでいくこととなりますが、やりたい事業がどのような形で船出をすれば順調な航海ができるか、いくつかのポイントを解説したいと思います。

 

 ※本文は令和3年4月1日現在の情報をもとに作成しております。

 

 


責任の所在


個人事業の事業活動は、事業主が主体となります。それは事業主自身が事業に関する全ての責任を負うということにほかなりません。

 

一方、法人を設立するということになると、個人とは別の”法人”という人格をつくることになります。もちろん、会社の意思決定は人間が行いますが、その責任を負うのは”法人”ということになります。

 

ここで気をつけたいのは、法人が責任を負うといっても、金融機関から会社が融資を受けるような場合、会社の代表取締役等が法人の連帯保証人になるよう求められることがほとんどで、会社が支払い不能となれば、連帯保証人にも返済義務が生じる点です。

 

最終的に法人が破産申立をする場合、連帯保証人にも法人が支払うことができない債務を返済できるだけの資力がなければ、事業主も破産を申し立てざるを得なくなります。

 

(事業上の責任者) 


開業手続き


開業から2ヶ月以内に税務署へ提出する必要がある書類をまとめました。個人事業と法人の場合にどのような違いがあるかを確認してみましょう。

 

なお、従業員を雇う場合は、これらに加え、社会保険の手続きも必要になりますが、社会保険の手続きについては割愛させていただきます。

 

 

 開業から2ヶ月以内に税務署へ提出する書類

 

(1)開業の届出

開業すると事業収入が発生することから、納税義務が生じます。開業届の提出は、いわば事業にかかる納税義務が生じたことを、税務署に申し出る行為です。

 

個人事業主の場合、事業所の住所あるいは事業所の所在地を管轄する税務署に「開業届」を提出します。法人の場合は、事業所の所在地を管轄する税務署に「法人設立届出書」を提出します。

 

(2)青色申告をする場合

所得税等の税金の申告を青色申告で行うには、個人事業主も法人も「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。個人事業で青色事業専従者に給与を支給する場合は、同時に「青色専従者給与に関する届出書」も提出します。

 

(3)青色専従者以外の者に給与を支払う場合

青色専従者以外の従業員に給与の支払いをする場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出する必要があります。

 

法人の場合で役員報酬の支払いや従業員への給与の支払いが生じる場合も同じ書類の提出が必要となります。

 

(4)その他

法人の場合で出資金や資本金の額が1000万円を超えるときは、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出が必要です。

 

税務署への提出書類について、詳しくは以下の参照URLにてご確認ください。

参照URL:国税庁

個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

 定款の作成

 

法人を設立して開業する場合は、定款を作成し公証役場で認証を受ける必要があります。

 

定款は会社の機関や運営方法等を規定するもので、法務局で法人登記の申請をする際には、登記申請書の添付書類としても定款が必要になります。

 

 

 法務局への設立登記

 

法人を設立するときは法務局に設立の商業登記を行います。個人事業の場合は「商号登記」というものがあり、同様に法務局に登記することができます。

 

法人の設立登記については、実際に法務局へ行って登記する方法が一般的ですが、今はマイナンバーカードがあればオンラインで手続きすることもできるようになっています。

 

参照URL:内閣府

サービストップ | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)

 

登記をすれば登記内容を誰でも閲覧できるようになり、登記内容の限りにおいて会社の内部を公開することになります。

 

登記内容は会社の決算書類とともに利害関係者にとっての重要な情報源となることから、金融機関などからの資金調達のしやすさ、取引関係の築きやすさなどの面で個人事業より法人のほうが有利になるでしょう。

 

 

 所得税・法人税等の申告

 

個人事業の場合、会計年度は12月末日で終了し、原則的に翌年の2月16日から3月15日迄に確定申告をすることになります。

 

一方、法人の場合は、年度末を任意に定めることができ、会計年度が終了した日の翌日から2ヶ月以内に法人税の確定申告をするといった流れになっています。

 

また、法人は、個人の収支と会社の収支をきちんと分けて管理し、法人用の税務申告書類を作成して税務申告を行い、原則的に決算書を公表します。

 

(開業後2ヶ月以内に提出が必要な書類 )